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SUNNY PLACE

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トリチウムをめぐる水掛け論

福島第一原発関係の証言本をいまさらながら読んでいて、今どうなってるんだろうか調べてみると、汚染水を増やさないため、数々の大掛かりな工事が行われているらしい。地下水が流入しないよう巨大な冷蔵庫で土を凍らせたり、ポンプでくみ上げてバイパスしたりと、原理としては非常にわかりやすい、所詮、原子力を制御するのにこの程度の技術しか出来なのかと思ってしまう。その中でもひときわ興味深いのが放射性物質トリチウムをめぐる対応だ。

www.asahi.com

詳細は引用に任せるが、どうも水と同化するこの放射性物質はセシウムやヨウ素と違って、現在の技術では除去が難しいらしい。国や東電は30億円を使って今ある技術で除去を試験している。最新鋭の海外メーカーの除去技術は18兆円!の費用がかかるものもあるらしい。ひょー消費税9%分の年間税収ではないか。

結局、「水で薄めて海に放出する方法が最も短期間で安く処分できると評価した」とある。なんと原始的なわたしでも思いつく!しかも、このコメントはなかなかの言いぶりである。評価基準の中には安全性というものが含まれず、「最も短期間で安く処分できる」という点しか評価されていないことを示唆している。トリチウムの危険性に関しては、電力会社側は安全、個人の野良ブログは危険との認識だが、今、原発の対応を進めている東電は前者の前提に、評価をしたようだ。電力会社は今この瞬間も、他の原発でトリチウムが海に放流されているわけでこの前提を変えると波及効果が多すぎる。なので、結果的に、トリチウムの危険性に関しては、「最も短期間で安く処分できる」という点しか評価できないことは一貫しているような気がする。

トリチウムの危険性については、安全という側も、危険という側も決定的な根拠がない中ですでに原発が動いている。電力会社の役員がトリチウム入り汚染水をコップ一杯飲んでくれればこの議論はおわるのだが、まあ、安全性の話はいったんおいておく。原発稼働を止めることに不利益のない、漁協や世論が、安全サイドの技術的・経済的に実現不可能なトリチウムの除去、海洋放出を許さないことを要求している。では対案はあるのか?それは、専門家の皆様が考えてくださいってお決まりのパターン。。。

実際のところ、凍土壁や地下水バイパスが動いたとしても、着実に汚染水タンクが増えていく。いつまでタンクを増設できるかは不明だが、(これも経済的に技術的に)タンクが増設できなくなる日までに、水で希釈する現在の処理方法より「安価かつ短期間でできる」トリチウム除去技術を望むのは難しいと思える。そう、あくまで安全性は判断基準に入らない。もし誰かが処理技術を今から考えるにしても、その評価はいかに安価か短期間でできるかのみが焦点にされる。ぶっちゃけ、海洋放出が避けられないだろう、そして、その不利益は日本人はもとより放射性物質が飛散する国の人たちでかぶらなければならい。トリチウムの安全を根拠なく語る側もどうかとおもうが、将来の避けられない結末に目をそむけ、水かけ論に終始して、判断を先送るのも生産的じゃないと思ったわけです。はい、強権発動じゃなくて、日本の場合はこっそりわからないようにだれも刺さらないよーに判断していく政治ショーがあるのです。